世界各国の男女平等の度合いを指数化した「ジェンダー・ギャップ指数*(世界経済フォーラム)」2018年版が、本日12月18日午前に発表されました。
*この報告書は、経済、教育、保健、政治の4分野14項目における格差の状況を指数化し国別に順位をつけたものです

100%を完全な「平等」とすると、今回、世界の格差は平均で68・0%。日本は66・2%で、ランキングとしては昨年の114位からは4つ順位をあげ110位。依然主要7カ国(G7)内では最下位という結果です。

これだけ女性活躍やダイバーシティが叫ばれているのに、微々たる前進しかできていない日本…。この数字、そろそろ真剣にとらえないと経済的にもまずいですね。なぜなら、足かせの要因に政治経済分野での女性の登用率の低さがあります。経済分野では、労働参加率や同一労働での男女賃金格差は徐々に改善傾向が見られますが、女性管理職登用率は15%(全体は34%)で最低順位です。

女性活躍、3つのフェーズ

私がお仕事で企業の取り組みや事例をみている限り、まだまだ「女性活躍」の意味するところが「労働参加」に寄ったもので、「女性が働きやすい環境を整える」という部分にフォーカスしている企業が圧倒的だと感じます。

先日、以下のようにお話されている某企業の人事幹部(50代男性)にお会いしました。

「でも、うち女性活躍研修とかたくさんやっているし、育休取得率も9割超えたし、女性活用バッチリですよ〜〜」

失礼を承知で言わせていただきます。 本当にそうでしょうか?

なぜかというと、こうした企業ほど育休復帰女性社員の “ぶら下がり” (この言葉、個人的には好きではないですが)にモヤモヤしていたり、現場では「待遇とか制度をよくしたところで結局ぶら下がり”社員を増やすだけだよね」という鬱憤があり社員同士の軋轢を生んでいたりします。

私は、「制度改革と風土改革は同時進行で!」と常々感じているのですが、制度がどれだけ整っても職場全体の温度や働き方が変わらなければ女性活躍はもちろん、健全な組織運営には至らないのではないかと思います。

女性はもちろん、制約がある人であっても、やる気や能力が高い人には積極的にポジションを与えよう、チームで効率化を図ろう、互いを尊重しよう……

そうした環境にならなければ、いつまでたっても時短ワーママは周囲に謝りながら退社し、彼女たちに業務を押し付けられた(と感じてしまう)社員は不公平を感じながら仕事をし続けることになります。

 

女性活躍に3つのフェーズ(1、労働参加の推進 2、働きやすい制度設計と実施 3、管理職など意思決定のポジションに就かせる)があるとすると、福利厚生としての「2」のフェーズが大多数だと感じます。そしてこれを「3」に移行させていくのが真の女性活躍推進だと。

記憶に新しい『資生堂ショック』は、女性にやさしい職場からママであっても休日や夕方の出勤をしてもらうなど、やさしさから活躍推進へ大規模な転換をしたことで話題になりました。どの企業もそう簡単ではないのも事実。女性活躍は1日にしてならず、です。

男性の働き方と意識を変えることが大事

なんでもかんでも「女性vs男性」と二項対立にしてしまいたくはないのですが、やはり、女性社員をマネジメントする男性の手腕も大きく問われているのは事実です。彼ら自身がモーレツな働き方をしている以上、実は女性活躍の説得力はありません。

“ワンオペ育児” に象徴される性別役割分担意識など、日本はまだまだ「男性は仕事」「女性は家庭」というマインドセットから解放されていません。

家庭のことでしょ??と思われるかもしれませんがそんなことはありません。男性が「俺は仕事が忙しい!」と言い続けて身を粉にして働き続ける限り早く家庭に帰れないわけですから、妻は家事労働の負担が嵩み、それが女性の社会進出の足かせになります。

イクボスが増えると現場の雰囲気がガラッと変わった!という事例も多くあります。女性本人が頑張ることが女性活躍推進ではなく、マネジメントする男性(もちろん女性も)が自分ごととして家庭に回帰し当事者になることが女性活躍推進の近道だったりもします。

女性活躍時代のニューロールモデルをつくろう

「女性はなぜ管理職になりたくないのか」。よく話題になるテーマです。旧態依然のモーレツな働き方やそうして手に入れる管理職というポジション……。それを間近で見ている女性の多くは(どれだけ意識が高くとも)ライフイベント期を迎えると「やっぱり私には無理です」と口々に言います。

実は、女性は管理職になりたくないのではなく、『“目の前の”管理職になりたくない』だけなのです。男性であれ女性であれ、自分にもできそう(あんなふうに働きたい!)と思えるお手本がいれば意識も大きく変わるはずです。

よくロールもでるがいないことも問題視されていますが、ロールモデルがいない以上自分がなるということも必要ですし、そもそも、完璧なロールモデルなどいないとも思います。複数の“いいな”と思うポイントをいいとこ取りをして自分らしいキャリアをつくるスタイルを私はいつもおすすめしています。

とはいえ、その“いいな”と思うような働き方をしている人がまだまだ少ないというのは事実としてありそうです。真似できないスーパーウーマンではなくて、再現性のある働き方。

女性活躍推進はいよいよステージ3へ。
働く個人はもちろん、企業のサポートも引き続き全力で取り組んでいきます。